青ポスの部屋

旅と技術とポエムのブログ

2017年鉄道の日によせて

bluepost69.hatenablog.com
今年も鉄道の日がやってきたので、少し思っていることを書こうと思う。

バイクに乗るようになって

今年は鉄道全体としては新線の開業などのあまり大きな動きはなかった(と思っているけど忘れているだけかもしれない)が、僕自身はバイクに乗るようになって、「鉄道」というものをこれまでとまた別の見方で見るようになった。

これまでは、遠くへ行く手段と言えば鉄道しかなかった。しかしバイクという手段を手に入れて鉄道が唯一ではなくなった。そのおかげで鉄道というものの持ついいところもいっそうわかるようになったし、悪いところも見えるようになった。*1

旅の手段としての鉄道

まず、長距離移動に関しては圧倒的に鉄道のほうが便利だなと思った。なるだけ安上がりで時間をかけて行く方法としても、18きっぷで1日で行ける範囲と125ccで行ける範囲では前者の方が広いし、何より自分で運転すると疲れる(もちろんそれがよさでもあるのだが)。

それに列車は時刻表通りに動くので、予定を立てやすい。バイクや車では渋滞に巻き込まれると予定通りにいかないこともある。

しかし鉄道で移動すると、行動範囲が駅から歩ける範囲に限られてしまう。別にどうしても行きたい場所はタクシーやレンタカー、バスを使えばいいのだが、なかなか気軽ではない。田舎の列車の駅にある観光案内には、せっかく行きたいと思っても「車で15分」などと書いてあってがっかりすることも多い。

バイクの場合は多少の寄り道は簡単にできる。列車の場合は乗り継ぎを考慮しなければならないが、バイクでは道路を調べるだけだ。それにバイクには終電などないし多少の無理が効く。

だが、時刻の無理は利いても体力の限界を攻めるような乗り方は絶対にしてはいけない。そのため1日の移動距離は鉄道に軍配が上がる。18きっぷでは1日で京都から新潟まで行けるが、125ccでそれをやるとぶっ倒れる。

日常の足としての列車

長距離移動に関してはこのようなメリットがある鉄道だが、日常の移動に関しては微妙なところもある。

10分以内に次の列車の来る都会では時刻表通りに来るというメリットが大きいが、それ以上ともなると不便さのほうが大きくなるように感じる。家を出るのが少し遅れて10分後の列車を待つのは仕方ないなあですむが、1時間後の列車を待つのでは途方に暮れる。そうなると、運転しなくてはいけないとはいえ時刻のないマイカーやバイクを使うほうが楽だということになる。

少し前に、バイクで名松線伊勢奥津駅に行ったことがある。名松線のダイヤは1時間以上の間隔がある上、関西方面からでは回りこむ形になる。列車で行ったときは時間がないのですぐに折り返すことになったが、バイクで来ると駅もゆっくり見れたし近くの道の駅美杉を回ることもできた。*2

このように、いざ自分がバイクに乗り始めると、鉄道を維持するには日常的な利用が必要だが、ローカル線の本数では日常的には使うのが難しいというジレンマをより強く感じるようになった。僕が名松線の沿線に住んでいたとしたら、日常の足として選択するのは名松線じゃなくてスクーターになるだろう。

それに、列車は一回の運賃がバイクやマイカーに比べると高い。乗り換えがある場合ともなると、バイクなら燃料費が100円もかからない場合でも電車だと500円くらいかかるというような場合もある。運んでもらっているのでそれも仕方ないが、バイクのほうが手軽に感じてしまう一因にもなっている。

その他の僕の中での転換点

僕の主な関心が鉄道からバイクに移ったのはほかにも事情がある。

それは主にきっぷ関連のことだ。去年ついに青春18きっぷの常備券が廃止された。券売機もインクの滲みやすい感熱化が進み、改札も無人化が進んでハンコがもらえない時間が増え、ハンコ鉄趣味はやりづらくなってしまった。

まあ全部まとめると「昔はよかった」ということになるのだが、自分の好きなものがなくなっていく一方である鉄道より、新たな趣味であるバイクに関心の大部分が移るのは仕方ないと思ってはいる。*3

*1:同様にバイクの良さも悪さも少しわかるようになったが、それはまた今度。

*2:とはいえ、名松線沿線に関しては、津や松坂方面へ向かうには車よりは鉄道のほうが実は楽とも言える。伊勢奥津駅のある美杉地域から松阪方面へ向かうには国道368号や県道15号線を通ることになるが、両方車だと離合に苦労する細い道が続く。特にR368の仁柿峠は斜面にへばりつくような坂道が続く「酷道区間であり、自動車で通るのは困難とも言える。バイクだと離合に関してはそんなに苦労しないが、仁柿峠のような区間を越えるのはとても疲れる。

*3:バイクもバイクで環境規制による生産終了など暗い話もある