青ポスの部屋

旅と技術とポエムのブログ

2016年鉄道の日によせて

そんな大それたことを書けるほどの人間でもないが、最近ブログのネタが不足しているので今思っていることを書いてみようと思う。

1872年に新橋~横浜間で鉄道が始めて開業してから今年で144年になるが、今、鉄道は大変革の時期にあると思う。高速鉄道技術が成熟し、北は北海道から南は鹿児島まで、日本全国へ高速鉄道網が整備され始めた。国外へも鉄道技術が輸出され、「新幹線」は日本の顔のひとつとなりつつある。リニアも研究段階から実用へ向けて建設が始まり、新たな高速鉄道が現実味を帯びてきた。

その反面、鉄道技術のパラダイムが変わると同時に、切り捨てられるようにローカル線の淘汰も進んだ。江差線木古内江差間に始まり留萌本線の留萌~増毛間、石勝線夕張支線、三江線も廃止が確実となっている。

また、新幹線の並行在来線として経営移管される例も相次ぎ、2010年以降で東北本線の八戸~青森間、北陸本線の金沢~直江津間、江差線木古内五稜郭間がJRから第三セクターへ経営移管された。運賃が上がったり乗車券が通しで買えなくなるなど不便になったという例が相次いでいる。また電化区間でも気動車のみでの運行となったえちごトキめき鉄道線のように、大きく姿を変えたものもある。また、第三セクター移管はされていないが、海峡線は旅客列車が新幹線のみの運行となった。

その上JR北海道が経営の限界に来ており、相次ぐ台風災害でさらに経営が危うくなっている。延期はされたが秋にも自力経営が不可能な路線を発表すると報道されており、沿線自治体の態度次第では更なる廃線も免れないといわれている。

もともと現在の在来線網は、鉄道技術が輸入されてから国が民間へ「鉄道」という新たな技術へ投資を促し、いわば「鉄道バブル」の中で建設されてきた面がある。その中で地域に定着したものもあるが、しなかったものもある。地域に定着しなかったものも国鉄、JRという枠組みの中で支えられていたが、その存在意義が問われるようになったのである。そこで定着していたものは第三セクターとなっても支えられているが、そうでないものは淘汰される。

地域輸送から目を転じて長距離輸送について考えると、今年はついに「ブルートレイン」という客車寝台列車が絶滅した年でもある。サンライズ瀬戸出雲こそ残っているが、長距離輸送の主役が夜行列車から完全に新幹線に移ったことを印象付ける出来事だった。

おそらく今後の鉄道の主役は、新幹線になっていくのはまちがいないだろう(そしてそれはやがてはリニアへと移っていくだろう)。その中で、今ある鉄道の持つ意味を考え直す必要がある。そう考えさせられた鉄道の日だった。

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