青ポスの部屋

旅と技術とポエムのブログ

20221217 下関 「巡礼の旅」

久しぶりに18きっぷを使って遠出したので書きます。

注:旅行記記事はである調で書きます。

モチベーション

そろそろ18きっぷ旅を再開したいと思っていた。だが全部18きっぷでは身体的にもしんどすぎる。なので新幹線も適宜使おうと思っていた。

ちょうどバリ得こだまという日本旅行の格安プランがある。バリ得は安いが予定が拘束されるので、行きだけバリ得で帰りは適当なところから株優で新幹線にした。

バリ得こだま(ひかり)

バリ得こだまは日本旅行の出しているプランで山陽新幹線を格安で利用できる。

www.nta.co.jp

名前にそぐわず一部のひかりも利用できる。空きがある限り前々日頃まで予約ができる*1

新大阪 - 小倉・博多は午後イチに着く便は1週間以上前から予約が埋まっており、夕方以降に着く便は4時間かかる。一方、広島までであれば広島止まりのひかりが利用できて空きがある。今回は往路で広島までバリ得こだま(ひかり)を使うことにした。

株主優待

JRのうち民営化、上場を果たした東日本、東海、西日本、九州は株主優待を行っており、株主優待券がチケットショップで入手できる。

JR西日本株主優待券は乗車券と料金券を合わせた全額が50%引きとなる。今回使う新大阪 - 小倉だと14,400円で、株優を使えば7,200円引きとなる。通常4,800円程度で売られているので2,000円くらい得になる。さらに株主優待はトクトクきっぷや旅行会社のプランと異なりすべての列車が利用できる。これが一番アド。

旅行記

山陽新幹線

今回は広島までひかり535号を使った。ひかりではあるものの岡山までは各駅停車のパターンで、西明石や相生にも停車した。だがそれを除けばほぼ普通のひかりやのぞみと変わらない。

バリ得こだまにはセブンイレブンでドリンクやお菓子と引き換えできるクーポン券が付いてくる。自分はノンカフェインで行きたかったので麦茶をもらおうと思っていたが、新大阪のセブンイレブンはどこも置いていなかった。新幹線にドリンクなしで乗るのはきついので仕方なく伊藤園の麦茶を自腹で買って、広島のセブンイレブンでクーポン引き換えして麦茶を買った。無駄に麦茶2本を持って旅をすることになった。

山陽本線 広島→岩国

約4年ぶりに広島駅に降り立った*2。在来線ホームに響く妙に爽やかな入線メロディ*3を聴くと一発で「広島に来たな」と実感する。アルミ合金をまとった227系が入線してくる様子も最近は普通になった。

広島から岩国までは227系だった。登場当時はつり目があまり好みでなかったが登場から5年近く経つのでだいぶ見慣れた。最近は関西地区でも221系の配属範囲が広がっていてJR西の転換式クロスシートに乗る機会が増えていて、ずっとクロスシートに乗っている気分になった。

雨のせいで空転しながら列車は進む。モーターがヒューヒューと近代的な音を立てる。VVVFから明らかに速度と見合わない音を出しながら、少しずつ列車は進む。

広島からしばらくは混んでいたが宮島口で大多数が降りた。しかも広島以東の山陽本線が遅延していたので、岩国は5分くらい延着した。

山陽本線 岩国→下関

岩国からは末期色の国鉄型車両になった。正直「まさかまだ生き残っていたとは」と思った。

つい最近導入された近代的な227系を後にして向かいのホームにいるそれに早々と乗り込むと、そこは完全に國鐵廣嶋の世界である。機械油とカビ臭さの混ざった古臭い空気。窓枠に刻み込まれた落書き。バリバリの車掌のアナウンス。外装は変わっても、内装は座席くらいしか変わっていない。

岩国を出て腰が痛くなってきた。痛いというか、プランク*4をやった後のようなだるさを感じた。結構しんどくて新山口に着く頃には満身創痍になっていた。

新山口で30分弱停車した。腰も痛いし再び新幹線に課金することも考えたが、3000円以上したので、がんばることにした。そこで新山口からは隠し玉を使った。無印良品で買った折り畳みネックピローだ。

www.muji.com

これは折り畳み状態だとちょうど細長い寝袋のように丸く細長くなり、これを背中と座席の間に入れるとちょうどよくなる。これを敷くとつらさが1/10くらいになる。これは全18きっぱーにおすすめしたい。

下関で神社巡り

無事に下関までたどり着いた。時刻は15時過ぎだった。

降りてからすでに天気がよくない。いや降りる前からよくない。広島で降っていた小雨こそ止んだが、この日の瀬戸内はずっと曇っていて日差しがない。しかも海岸なのでものすごい風。まるで軽々しく御朱印巡りをするような巡礼者を戒めるかのようだ。

バスで唐戸バス停まで行き、亀山八幡宮赤間新宮、末廣稲荷神社を巡った。鳥居をくぐり、冷水で手を清める。社殿に向かって柏手を打ち合掌する。この刹那、世界は神と自分だけになり、感謝と崇拝の念で満たされる。

亀山八幡宮では日本最大の石造の鳥居やフグの像、赤間神宮では朱塗りの大門や耳なし芳一の像、平家塚を巡った。*5御朱印や由緒の書かれたパンフレット、御札をいただいた。時刻は逢魔が時に差し掛かり、日照は少しずつ減っていく。風は強さを止まず、日が傾くことに少しずつ冷たくなっていく。

帰り道は旧英国領事館や唐戸市場に寄ったが閉まりかけだった。関門海峡の名物はふぐだ。しかしふぐは高いし自分はあまり興味がない。自分はいつもそうだ。稚内に行ってもウニに興味を持たないし、、、。

バスに乗って下関に戻った。その頃には完全に夜のとばりは降りてしまっていた。お土産を買って次へ進んだ。

関門トンネル

最初は関門海峡の人道を歩いて渡って観光鉄道で門司港へ行こうと思っていた。しかし観光鉄道は17時が終発であり時間的には急がなければ間に合わない。それにこの気候で吹きっさらしのトロッコ列車に揺られるのは完全に修行でしかない。なので諦めて次に回すことにした。

関門トンネルを越えて小倉まで行った。18きっぷを使ったのは広島までしかバリ得が取れなかったこともあるがそれだけが理由ではない。山陽本線山口県区間が一番おもしろい。瀬戸内海沿いを走り抜ける山陽本線は、日本最古の海底トンネルで締め括られる。

デッドセクションで灯火を落として海越えの準備を整えた列車は、静かに九州へ向かい走り出す。海底トンネルへ入ったその時から、車内はにぎやかになる。ガタンゴトンと鳴り響くレールの音、車窓を規則正しく通過する無機質な水銀灯、うなる古いモーター。関門トンネルでないと摂取できない鉄分が確かにそこにはある。

山陽新幹線みずほ

トンネルを抜けた列車は門司を通り小倉へ着く。トンネルを越えると名実ともに九州である。駅名標も時刻表もアナウンスもJR九州仕様になる。しかし今日は九州をめぐって満喫することが目的ではない。九州の改札をすぐに抜けてJR西日本の管轄する新幹線の窓口へ向かった。

小倉からは株主優待券を使って山陽新幹線で帰った。みずほとのぞみを選べたがみずほを使った。

みずほに入ると、普通車でも4列でシートも高級なのでとても得した気分になった。乗ってから「そういえば誰かが言ってたような気がするな」と思ったが、昔に仕事で使っていたような気もする。

夕食は小倉で買ったかしわ飯弁当にした。

夜の新幹線は優しい。夜の街には明かりが灯り、スケールが小さくなる。何十、何百万の人々の営みも新幹線の車窓を通すとジオラマになり、数多の輝きを車窓に流して、夜の新幹線は遠出で疲れ切った人々を静かに運んでいく。

車窓に見入っているうちに新大阪に着き、この旅は終わった。

まとめ

  • 非常に満足感のある旅だった。普段通過するだけだった下関の街を深く理解できた。
  • 長時間在来線普通列車に乗車するとクロスシートであっても腰が痛くなる。クッションがあれば緩和できる。
  • 山陽新幹線は選べるときはのぞみ・ひかりよりみずほ・さくらを選ぶとアド
  • 御朱印巡りは生半可な気持ちでやるべきではなく、一度に複数社回る予定は立てない方がよい。
  • しかし御朱印巡りは土地や歴史のことをよく知るいいきっかけにはなる。

*1:どこかに書いてあったわけではないが、予約ページを見ると翌日は予約できない。

*2:広島県自体はバイク旅行で訪れている。それでも3年前になる。 bluepost69.hatenablog.com

*3:コレ
https://youtu.be/V1rvB0BEOMU

*4:体幹強化のために毎日やるようにしている。

*5:寺社巡りは失礼にならないようにじっくり書きたいのでここではあえて書きません。