札幌からは、日中にオホーツク海を通るために思い切って特急オホーツクを利用した。
オホーツクは旭川から網走まで石北本線を通るのだが、この地域は道内でも人口がきわめて希薄な場所になる。先日記念購入した乗車券を見せた下白滝、旧白滝、上白滝もこの地域にある。この地域が普通列車が極めて少ないからオホーツクを使ったという事情もある。
網走からは釧網本線に乗り継いだ。この線区は丁度オホーツク海沿岸を走っており、シーズンの2月ごろは流氷が押し寄せている光景が見られるのだが、この時期になるとさすがにシーズンを過ぎてはいる。しかしところどころ残っている流氷を見ることができた。
知床斜里駅でしばらく時間ができたので、知床博物館へ行った。知床地域の自然が中心の博物館ではあるが、個人的に印象に残ったのは、民俗史の箇所だった。
オホーツク沿岸地域に入植した住民は、食べ物にも事欠くような貧しい生活を余儀なくされていた。そこに釧網本線が開通した。鉄路による安定輸送により人々の暮らしは劇的に改善されたのである。
現在JR北海道の経営状況は極めて厳しく、ローカル線の普通列車が大幅減便されるなど、このままでは「北海道に鉄道が通っていた」ということが過去形で語られることになりそうな状況である。しかしそれでも鉄道には厳しい自然条件でも安定輸送が可能であるという重要な特徴があり、それが人々の暮らしを支えてもいるのだ。
知床斜里からは釧路に出て宿泊した。