前回
銀河山陽コースの車内
三原を過ぎたあたりで目が覚めた。寝つきは悪かったが目覚めは気分がよかった。朝日が出て薄明るくなるくらいに爽やかな朝を味わえるのが夜行列車の醍醐味だ。
広島、宮島口、岩国と止まっていく。山陰コースと異なって広島市内は比較的本数が多いので、停車は短時間で出迎えやイベントもない。退屈かも知れないが、朝ゆっくり二度寝できるという意味ではメリットになる。
特に山陽本線の広島以西は瀬戸内海沿いを走る美しい路線である。横になってリラックスしながら朝の瀬戸内海を楽しむのはとても気分がよかった。
唯一長時間停車する柳井では朝食向けの軽食販売がある。ホーム上での立ち売りスタイルで混雑していて、売り切れるものもあった。サンドイッチを食べた。
下関駅の駅ピアノ
下関に到着した。下関は2年ぶりになる。
まずストピ巡りの1ヶ所目として下関駅のピアノを弾いた。アップライトだがよく手入れされていてよいピアノだった。
途中下車して駅近くの東横インに荷物を預けたあと、すぐに小倉行きに乗って関門海峡を渡った。
門司港の焼きカレー
昼前に門司港駅に降り立った。お腹がすいたので何か食べ物を探していると、「門司名物焼きカレー」と書かれていて誘いこまれてしまった。
焼きカレーはカレーのドリアのような料理で門司名物らしい。目に留まったのは門司茶寮というお店で、ビルの1階のこじんまりした構えの店だった。食欲を考えてミニカレーにしたが、サラダもついていて十分な量だった。チーズと卵でかなりまろやかな味だった。店内に流れているオールディーズなBGMも雰囲気がとてもよかった。
店を出て気づいたが、昼時ということもあって焼きカレーの有名店はどこも長蛇の列で、門司茶寮は穴場だったようだ。いい店を見つけて満足感を覚えた。
旧大阪商船 わたせせいぞうギャラリー
ストリートピアノがあるという情報を得たので旧大阪商船ビルに入った。受付で話を聞くと移転したと言われた。せっかくなので、1階に入っているわたせせいぞうギャラリーを見学した。
わたせせいぞうは大滝栄一のA LONG VACATIONのジャケットなどを手掛けたイラストレーターだ。
ギャラリーなので写真は撮っていないが、80,90年代のポップなイラストを楽しめた。
関門海峡ミュージアム
ストピ2軒目として関門海峡ミュージアムに立ち寄った。カフェのあるガラス張りで眺望がよいところにあった。
展示も一周した。歴史のところがおもしろかった。下関は古来は源平合戦の最終末となる壇ノ浦の戦いで、幼い安徳天皇が非業の最期を遂げた場所である。その後も長州藩の活躍や下関条約の締結など、様々な歴史の舞台となってきた。
跳ね橋(ブルーウィング門司)
跳ね橋を渡った。「恋の跳ね橋」というジャジーな曲が流れていた。ジャズには疎いのでスタンダードの一つなのかと思っていたら、地元のアーティストが書き下ろした曲らしい。
門司港レトロ展望室
ストピ3軒目として門司港レトロ展望室のピアノを弾いた。てっきり展望室の眺望がいいところにあるのかと思ったら1階の薄暗いところにあった。係員の人にピアノを弾きたいことを伝えると「弾いてくださるんですか?」とまるで急病人のところに現れた医者のような扱いを受けた。それにしてはひどい演奏をしてしまい、それでも拍手をしてくださったので少し申し訳なくなった。
エレベーターで展望室まで登った。対岸の下関までしっかり見えるロケーションだった。恋人の聖地らしく寄せ書きのようなものもあった。あいにく今日は恋人をつれていないので、次の列車までの時間の都合で一周したら早めに降りた。
観光トロッコ列車
前回はダイヤと気候の都合で断念したところだったが、今回は天気もよく爽やかで気持ち良い空気だった。
観光列車なので始終アナウンスが流れていた。速度は日本の営業列車では最も遅い15km/hらしく、原付*1やJR西日本の必殺徐行区間*2よりも遅い。ガタゴトいいながらゆっくり関門海峡めかりまで移動した。
若布刈神社
めかり神社と読む。関門海峡は瀬戸内海と日本海を隔てる海峡で、渦こそないが潮の流れが極めて速い難所である。そのため数多くの海難が起こってきた。そのなかで神事のためにワカメを備える風習があった。そのワカメを採取しようとすると、必ずそのときだけ潮の流れが穏やかになったという。
おみくじを引くと大吉だった。
関門海峡人道
関門海峡を歩いてわたった。
どれくらい時間がかかったかはっきり覚えていないが、15分くらいだった気がする。
下関側に着いた後、バスで下関駅近くのホテルまで戻った。帰りに去年参拝した亀山八幡宮にお祭りの知らせが書いてあるのを見た。せっかくだから降りようかと思ったが、よく見ると翌日だったのでこの日はやめた。
余談
ホテルでテレビをつけると大家族で有名な石田さんちの番組をやっていた。子育てや家族づきあい、飼い猫の看とり*3の話をしている回だった。皮肉なことに、自分もちょうどその辺りで悩んでいてその現実逃避のために旅行に来ているのに、テレビを見ていらぬ現実に引き戻されてしまった。石田さんちはおもしろい番組だが旅行先では見ない方がよい。