青ポスの部屋

旅と技術とポエムのブログ

18きっぷ旅でうまく特急を使う方法

昔の記事を見返していて、書き足したいことが多いので新たに記事にすることにした。
bluepost69.hatenablog.com

大原則:特急の車内で青春18きっぷは紙切れと同じ

その前にまず18きっぷのルールを確認しておこう。タイトルから誤解を招くかもしれないが、18きっぷで特急に乗ることはできない。とはいえ18きっぷを使っているときは特急に一切乗車できないというわけではなく、特急券のみならず別途乗車券も購入する必要があるという意味だ。つまり特急列車の車内では18きっぷはただの紙切れということになる。
事前にみどりの窓口などで購入すればまったく問題ないが、乗継などの事情で特急列車に飛び乗った場合は車内で精算することになる。

特急列車で逃した列車に追いつく

このように特急を使うときの追加コストが高くつく18きっぷだが、それでも特急を使うメリットは大きいことがある。

たとえば、九頭竜湖へ行って大阪へ帰ろうとする状況を考えよう。越美北線は本数が少ないので、午後の日中の九頭竜湖発福井行きは14:35発16:03着となる。この時間の北陸本線の時刻を見てみると

発駅 普通 特急サンダーバード 普通
福井 1546 1608 1611
敦賀 1636 1641 1735

となっている。また、敦賀の時刻を見ると1659の近江今津行きがあり、1546発の普通列車に乗ることができれば1時間早く着くのだが、普通列車のみでは間に合わない。1611発の列車が可能な中では最速だが、敦賀で乗り継げる列車も1時間繰り下がってしまう。
そこで、サンダーバード敦賀まで使う。敦賀福井の運賃と特急料金は指定席であわせて2670円、自由席は520円引きで2150円だ。サンダーバードを使えば敦賀近江今津行きに乗り継ぐことができ、1本早い1546発の列車に乗ったのと同じことになる。
このようなうまい"スジ"を見つけることは、ネットの乗り換え検索では難しく、ここに紙の時刻表を読む最大のメリットがある。特急列車の料金早見もついているので、僕は「コンパス時刻表」という単行本サイズの時刻表を毎シーズン1冊購入している*1

場所によっては線区ごとの時刻表が駅で配られている場合や、ネットにも「えきから時刻表」という線区の時刻表を公開しているページがある。
えきから時刻表 ホーム

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ワープに使った自由席特急券。使用には同区間の乗車券も必要になる。乗るだけなら自由席で十分だが、券面に列車名を残したいなら指定席にする必要がある。

「使わざるを得ない」場合もある

また、線区によっては特急列車を使わざるを得ない場合もある。
有名なもののひとつが、九州西部を走る日豊本線の佐伯~延岡間、いわゆる「宗太郎越」だ。
佐伯発延岡行きの普通列車は佐伯発が6:18、17:14、19:34の3本しかない。ただし特急列車は1時間に1本程度あるので、この区間だけは特急列車を使うことが現実的になる。
なお、1日に1本も普通列車が設定されていない区間も存在する。今は石勝線の新得新夕張のみだが、この区間スーパーとかちスーパーおおぞらの自由席に乗車できる。ただしそれ以上の区間にまたがると新得新夕張の運賃、特急料金も必要になる。
かつては青函トンネルを含む木古内蟹田も同じように別料金不要で特急列車に乗車できたが、北海道新幹線開業後は函館~木古内が経営分離されたこともあり、別途「オプション券」の購入が必要となっている。
ただし、これらの例外規定は建前上「利用できる列車が存在する」という状況を維持するためにあるので、乗継は両者ともに極めて悪く1日数本しかない。そのため石勝線は新得~南千歳、北海道新幹線は函館~新青森だけ使うのが現実的だろう。

「楽しい旅にする」ために使うのはアリ

ここまで「効果的な使い方」という視点で特急を使う方法を書いてきたが、別に理由は「単に楽をしたいから」でも構わない。

18きっぷは鈍行しばりのきっぷ」というイメージは非常に強く、「18きっぷ旅ではいかなる場合でも特急は一切使ってはならない」という原理主義的な哲学もあるにはある。しかし、以前も述べたが18きっぷは実は補完的に使うと非常に使い勝手がいいきっぷでもある。僕も最初の鉄道旅は「北斗星に乗りたいから」という理由で、北斗星のきっぷは完全に別で手配した。
このように、お金が出せるのであれば楽しい旅にするために特急列車は好きに使って構わないのだ。もちろん不正乗車は論外だが、旅程の組み方はあなた次第だ

*1:ただし今シーズンは18きっぷそのものを使わなかったので買っていない。