先日マルス発行の乗車券を紹介したが、POS端末が置かれている駅ではPOS端末で発券される。
JR西日本の入場券では、乗車券同様POS端末ということを示す西というマークが入る。また駅名がマルス券のものよりふた回りくらい大きく、収集する上ではわかりやすくてよい。
価格は本州3社の一般の初乗り運賃の140円で、JR西日本管内では「発行から2時間」という時間制限が課されている。おそらく本州3社ではダイヤが過密な箇所があり、不正乗車に使われるリスクを考えてのことだろうと思われる。
ところで、筒石駅は旧北陸本線の駅で、糸魚川の近くの知る人ぞ知る駅である。というのも、北陸本線の糸魚川周辺はフォッサマグナの西縁、きわめて地形の急峻な場所を越える箇所に当たる。古くは道の険しさから親子でも互いのことを気遣っていられないことから「親不知」「子不知」という地名が残っている*1。
北陸本線はかつて海岸べりの険しい場所を通っていたが、高速化の上で障壁となり、さらに地すべり災害も頻発したことから、頚城トンネルという10km以上にもなる長大トンネルが建設された。このトンネルの工事もかなりの難工事であったという。この頚城トンネルを掘った男たちが、後々青函トンネルを掘ることになる。
筒石駅はその難所のど真ん中にあり、頚城トンネルの中間地点付近に位置していたため、新線移設とともに頚城トンネルの真ん中に建設された。そのため地上の駅舎からホームまで非常に長い階段をくだらなければならない、「日本有数のモグラ駅」となったのである。*2
その筒石駅で入場券を購入すると、ポストカードサイズの「入坑証明書」がもらえた。
さらに、JR時代はJR西日本が営業する最も東の有人駅であり、しかも青春18きっぷの常備券を取り扱っていた。すなわち「首都圏から最も近い赤春が買える駅」であり、そういう意味でも切符マニアには有名な駅だった。
そんないろいろな意味で異色な筒石駅だが、北陸新幹線開業に伴う北陸本線の経営移管により、現在はえちごトキめき鉄道日本海ひすいラインの駅として営業している。赤春の販売は終わってしまったが、今でも入場券を購入すると入坑証明書がもらえるサービスは行っているとのことである。