兼ねてから書きたかった退職エントリーを書きます。
TL;DR
- 新卒で入った会社を退職して博士課程に進学します。
- お仕事も受ける予定なのでフリーランスエンジニアにもなります。
会社について
某大手SIerの子会社です。技術屋として新規事業立ち上げや営業支援に関連する仕事をしていました。下記ポートフォリオ*1もご覧ください。
理解ある上司にも恵まれ、事業会社なのに採算度外視の多くの学習機会をいただきました。具体的な業務内容としてはデモやプロトタイプの制作、営業員向けプログラミング講師、技術面での営業支援などをしていました。
入社当時はPGとして言われた関数を実装できる程度のスキルでしたが、今は社内で決めた「こんな感じのデモにしよう」という仕様から設計をおこし、モックアップの実装まで自分でできるようになりました。
考えたこと
入社して4年が経過し中堅社員と呼ばれる域に入ってきました。年齢的にも30歳が見えてきており、ここ1年程度キャリアについて考えていました。会社は概ね満足はしていましたが、会社で自分ができることに限界も見えており、「次のステージへキャリアアップしたい」という欲が溜まっていました。
そんな中、修士まで在籍していた研究室に自分がお世話になった先輩が教員として着任され、交流が生じました。そこで自分のスキルセットを棚卸ししてみると、
を総合することで、自分の適性を活かして物理学の学問分野に貢献しつつ、博士号取得というキャリアアップにもつながると考えました。
また自分が研究室に戻ることで、下記のような二次的な効果も得られると期待しています。
- 大学以外のキャリアを活かして修士学生のキャリア形成の助けとなる。自分の研究室では大学以外のキャリアを持つ人がいないため、自分が修士を出るときは博士進学と就職で非常に迷い悩みました。今の社会人を経験したことのある自分が研究室に在籍することで、そうした学生さんの悩みを解決する一助になりたいです。
- エンジニアの実務経験を活かし、研究室のIT系のマネジメントを改善して研究の効率向上につなげる。学生時代から問題意識はあったのですが、当時対案として示すことができたのは「ソフトウェア開発の原則を知らないワナビー学生の試行錯誤の結果であるよくわからないもの」でしかなく、受け入れられるものではありませんでした。今は実務経験に基づく設計思想のある方式を提案することができます。
研究室について
レーザープラズマの理論シミュレーション研究をします。
プラズマは超高温の物質が電離した状態で、高エネルギー物理学で中心になる物質です。話題の核融合でも主人公になっています。プラズマは物質を電磁波やレーザーで加熱していくと移行する固体、液体、気体に次ぐ第四の相と呼ばれています。プラズマは電気的に中性でないので、電磁気学に従った非常に複雑な挙動をします。そのため今でも未知の領域の多い研究分野になっています。
自分の研究ターゲットはITERなどのトカマクプラズマとは違うのですが、核融合を目指す研究としてレーザーでプラズマを爆縮して高温高密にする方式が提案されています。その他にも長大なラインの不要な新しい粒子加速器の開発など様々な応用が検討されています。
レーザーとかプラズマとかの説明はどこか別でやりますが、テック系の具体的な手法としてスパコンで大規模シミュレーションをやります。またFortranを触らないといけないのはチョットツライ
今思っていること
収入について
昔は博士学生にとってまとまった収入は学振か奨学金しかありませんでした。学振は言わずもがな5人に1人しか取れない難関です。
しかし2020年から文部科学省が予算をつけ、より幅広い学生に学振よりちょっと少ないくらいの研究費を支給する制度が始まりました。正直これが進学を決意した一番のきっかけですね。
これが取れる確証はないんですが、取れたら微妙に赤字くらいでなんとかしのぐことができます。「ドクターを取るなら大赤字覚悟だったのが、生活費くらいはもらえる見込みがある」というのがわかって、お金の心配が大きく低減されたので飛び込んでみようと思いました。万が一取れなかったら、、、それはその時考えます。
またありがたいことにRAなどのお仕事もいただける見込みが立っています。流石に会社員のときよりは収入は減りますが、しばらくはすかんぴんにはならずに済みそうです。健保と住民税と授業料と入学金で退職金はほぼ消し飛びますが
修了した後
あまり決めてません。運良くアカポスにつければそちらに進むし、民間企業に転職することも考えています。もちろん就職活動はしますが、完全に縁に任せようと思います。
よく「博士の就職は厳しい」と言われますが、それはかなりイメージが先行していると思います。厳しいエピソードに出てくる人は学部からストレートで博士まで来た大学以外に職歴のない人が多く、その場合は厳しい面があるのは否定できません。とはいえ自分の場合は職歴があるのでなんとかなるやろと思っています。なってみないとわかりませんが、、、。
てなわけで(手前味噌)
少しでも収入の足しにしたい自分のような社会人から学生に戻りたい人などのためにnoteを書きます。投げ銭してもらえると喜びます!(アカウント作り直すかも知れないけど)
Zennも続けるので投げ銭ください!!!(超手前味噌)
たくさんの支援が来たら二重の意味で泣きながら帳簿つけます。以上です。