ネットには機構プログラム / フェローシップに通った人しかいないので、アンチパターンとして書いておきます。
TL;DR
- タイトルの通り資金に不採用となった。
- 研究業界で「確実に取れる研究費」など存在しない。
- 修士で少しでも博士進学を志望している人は少なくとも学会発表はしておいた方がよい。
落ちた日のこと
記事のタイトルと要約がほぼすべてなのですが、京大のJST SPRING事業 (大学院教育支援機構プログラム / フェローシップ) に不採用となりました。
機構プログラム / フェローシップ両方落ちた...こんなことって...
— 青ポス (@bluepost125) May 12, 2023
正直、研究を始めてから今までで一番へこみました。不採用の連絡メールが来た日は誇張抜きで1日中泣きました。メールには「不採用。問い合わせは一切応じない」と最小限のことしか書いていないことや、昨年がかなり高い採択率だったという事実もあり、自分の研究に不合格という烙印が捺されたような気持ちになって、3日間は何も手がつきませんでした。
その後
連絡が来てから3日くらい、研究をやめて企業に戻ることも本気で考えました。
- 今でさえ貯金を切り崩して生活していて不安があるのに、それをあと2年も続けないといけないのか。
- 特に授業料も支払わなければならないのか。お金をもらうどころか授業料を支払ってまでやる価値があるのか。
- バイクや音楽、投資など他にやりたいことを我慢してまでやる価値があるのか。
しかし、一般にこういう凹んでいるときに大きな決断をするのは避けた方がよいものです。「やめるやめないの決断を先延ばしにするとしたらいつまでか?」を考えて、ひとまず「後期の学費が確定する9月までは現状維持しよう」と思いました。
親やラボの先生などいろいろな人に相談しました。みんな口を揃えて「今やめたら絶対に後悔する」と言います。最初は「そりゃ誰だってそう言うでしょう」と思いました。言う通りに続けて成功したら美談になります。失敗しても他人の人生だから別に気になりません。言葉だけだと大変無責任に感じられても仕方ありません。
それでも今回は本当に助けてもらったと思います。大学院生は9月までやるとして、その間に機構プログラム以外の奨学金を目指すことにしました。ひとまず出せそうなものは下記あたりだということがわかりました。
1はよくわかっているとして、2と3は提出期限まで1週間以内と迫っており、社会人経験に照らすと無理がある状態でした。2は先生の推薦書が必要で、3は家計基準から親の会社に証明を書いてもらわなければなりませんでした。
それに対して先生は土日を返上して推薦書を書いてくださり、申請書も丁寧にクロスチェックしてくださりました。親も会社に無理を言って数日で証明書を手配してくれました。こうした行動から「自分はいろんな人から確かに後押しされている。その意思を決して無駄にしてはならない。」と気持ちを固めることができました。
反省と今後の計画
冷静に考えて、申請書に足りなかったと思う点を書きます。
- 背景で書くことが絞り込めておらず、結果として異常に幅広い分野(具体的に言うと宇宙物理をやってる人ほぼ全員)にケンカを売るような文書になってしまった。
- 上記にも関わらず背景では参考文献が1つも示されておらず、説得力があるどころかインチキ論者のような心象を読み手に抱かせてしまった。
- 申請書のレビューを普段一緒に研究している先生にしか受けておらず、その結果上記のように歪んだ主張になってしまった。
- 加えて業績が学部卒業論文と修士論文、企業時代の自社サイトの記事だけでありほとんどなかった。
SPRINGの申請書はほぼ学振DC2に使い回せるようなフォーマットになっているのですが、上記の反省を踏まえて大幅に書き直す予定です。
資金的にはCFプロジェクトとDDDの選考待ちとなっていて、どちらか通れば解消されます。仮に両方落ちたとしても、短期的には日本学生支援機構の貸与奨学金*1があるので、標準修業年限までキャッシュがなくなるということはなさそうです。以前からの目標ではありましたが特に優れた業績による返還免除*2を勝ち取ることを目標にします。
業績に関しては焦ったところでどうしようもないので、まずはジャーナルを1本出すことを目標に着実に研究を進めていきます。
これから博士に進む人に対するアドバイスとして、せめて修士のうちに学会発表くらいはしておいた方がよいと思います。自分の修士課程では、研究室全体的に「修士は修了さえできればよい」という雰囲気があり(今は改善されています)、自分も強く主張しなかったため、今になって業績がないことに極めて困っています。博士に進むのであれば自分から志願してでも学会発表はやっておくべきです*3。
まとめ
生活の基盤と(勝手に)思っていた資金に落ちたので、金策と気持ちの整理に1週間かかってしまいました。しかし周りの人の助けもあって、今は少しずつ前向きさを取り戻してきたと感じます。研究の方もある意味尻に火がついて進捗が出せつつあるので、慌てないで成果を取りまとめていきたいと思っています。