この記事は数学、物理、科学哲学、宇宙 Advent Calendar 2023 16日目の記事です。
こんにちは、青ポスです。自分の研究をどこかで記事にしようと思っていたのですが、アドベントカレンダーに参加したので語ってみます。
プラズマとは
自分の研究の一番のキーワードはプラズマです。
突然ですが皆さん、プラズマと聞くと何を想像されますか?やっぱり一番多いのはプラズマディスプレイでしょうか。しかし最近は液晶テレビに取って代わられてしまいました。他には
- 火炎
- 雷や放電で生じる稲妻
- 蛍光灯
などもプラズマです。
ここでようやく定義ですが、プラズマとは一定以上電離が進んだ物質の状態のことを言います。
物質は細かく見ていくと、普通の常温常圧では多くの物質が分子*1から成り立っています。温度の低い状態では分子は秩序だって結晶になっていて、温度を上げていくとつながりが解けて自由に動く液体になり、さらに上げると完全に分子が自由に飛び交う気体状態になります。このように、一般的に温度が上がるほど分子などの粒子は自由に動けるようになります。
では気体からさらに温度を上げるとどうなるのでしょう?気体の分子は原子核と電子から成り立っています。温度が上がっていくとやがて原子核(イオン*2)と電子はそれぞれ自由に動けるようになり、分子という構造が解体されてバラバラになってしまうのです。この状態をプラズマと言います。
プラズマの最大の特徴は電子やイオンが電荷を帯びているということです。言い換えると、プラズマは電場や磁場に機敏に反応して複雑な運動をするということです。
なぜプラズマの研究が必要か?
プラズマが何かわかったとして、なぜ研究する意義があるのでしょうか?それはちらっと書いた「高エネルギーな状態では必然的に物質はプラズマとなる」ということにあります。
例えば、最近次世代のエネルギー源として核融合が話題になっていますね。核融合は宇宙では恒星の内部で起こる現象なので、そのような高温状態を再現して制御する必要があります。当然その状態では核融合の燃料となる水素はプラズマになっています。
高温状態を維持できなければ熱核融合反応は起こりません。しかしプラズマではほかの物質と違った形で熱や粒子の輸送が起こる性質があり、ただ温めてもエネルギーが勝手に外へ逃げていきます。したがって核融合をエネルギー源として実用化するためには、プラズマで起こる輸送現象の仕組みを理解して閉じ込める必要があるのです。
また、宇宙に目を向けると、宇宙を満たす物質の90%以上はプラズマ状態にあると言われています。宇宙では太陽のような恒星が核融合で光っているだけでなく、超新星のような壮絶な宇宙現象も起きており、これらはプラズマ中で起きます。したがってプラズマの性質を明らかにすることが宇宙現象の理解には必要なのです。
まとめ
時間がなかったので長文になってしまいました。プラズマについて興味を持ってくださればうれしいです!