青ポスの部屋

旅と技術とポエムのブログ

正月に親戚の寄り合いをリモートでやった話

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

我が家では毎年年末年始は父方の親戚(3親等以内)で集まって過ごすのですが、今年はコロナ対策のためにリモートで行いました。自分が手を動かすことになったので、体験談として記しておきます*1

リモート帰省のイメージ(いらすとやより)
リモート帰省のイメージ(いらすとやより)

前日譚と断念

一番最初に企画を立ち上げたのは、GWに帰省が見送りとなり、5月ごろに緊急事態宣言が発令されたときでした。

僕個人はこの時点で「まず盆休みは集まれないし、下手をすれば年末年始も無理かもしれない」と思いました。しかし祖母は人と話をするのが好きで寄り合いを楽しみにしているので、なんとか代替手段を考えてあげたいと思い、「リモートでテレビ通話する」という企画を検討開始しました。

このときやらなければならなかったこと

まず第一の課題は回線です。

開催場所となる祖母宅はインターネットなどとは無縁な祖母しか住んでいないため、光回線などは来ていません。そのため何をやるにもまず回線をどうするかを考えなければなりません。

戸建てに光回線を通すには工事が必要でランニングコストもかかります。そこでWiMAXをまず検討しました。WiMAXは固定回線ではないのでサービス品質は劣りますが、「工事不要で光より取り回しが容易」なのが魅力的でした。導入してみても結局ほとんど使わないという可能性もあるので、万が一解約となる場合WiMAXのような無線であれば機器の返却のみで済むというのは大きなメリットでした。

www.uqwimax.jp

また、祖母が今でもガラケーを使っており「スマホにしたい」ということを言っていたので、それともあわせて検討しないといけませんでした*2。祖母はSoftbankを使っているので、Softbank Airという可能性も考えました。いろいろよろしくない評判もありますが、解約がありうるという状況では選択肢に入るかと思いました。

www.softbank.jp

挫折

しかしこのときはリモート企画はボツになりました。

第一にコストを誰が払うのかということです。自分がスタンドプレーで一気通貫でやってしまうということも不可能ではありませんが、手作業から契約、その後の維持コストまですべての負担が自分にかかってしまうため現実的でありません。

それに両親の反対です。母はITに疎いので「いざというときにヘルプを頼まれても対応できない」とのことでした*3*4。確かに祖母は困ったらまず母を頼るので、母が対応できないことを導入するわけにもいかないと思いました*5

さらに当の祖母もあまり積極的ではありませんでした。実際タブレットを見せたりLINEのビデオ通話を見せたりしましたが、やはり「扱いきれそうにない」「ありがたいが電話で十分」とのことでした。これは予想通りでしたが、決定打になりました。

このように、自分以外全員が「あったら乗っかりたいが積極的にやりたいとは思わない」といった雰囲気であり、企画は保留となりました。その後夏になっても感染拡大は収まるどころか第二波襲来と言われるようになり、お盆も寄り合いは取りやめとなりました。

急転直下の開催

事態が変わったのは12月も25日頃です。親戚からZoom会議を繋いでくれないかと相談があり、急遽設定することになりました*6

晦日に自分のPCにZoomをセットアップして、大晦日と元日に突貫工事で会議を実行しました。自分は普段はZoomは使わない*7ので手探りでしたが、大学生でZoomを使う弟妹に教えてもらいました。

やってみての技術的なデータ

環境

  • PC:2019年に買ったi7+GTX1050のwindowsオーバースペックマシンです。
  • カメラ:中華安物アクションカムです。PCのインカメラもありますが、広角のカメラを使いたかったからです。百均の小さい自由三脚を取り付けて使いました。
  • マイク:Zoom H1nです。Zoomなのは狙ってないです。
  • ディスプレイ:テレビにHDMIをつないで映しました。
  • 回線:自前のドコモ系MVNOBiglobeモバイル)のスマホからWi-Fiテザリングしました。Biglobeモバイルにはデータ通信量の繰り越し制度があり、通信量がたまっていたので助かりました。
  • 自分を合わせて3拠点接続しました。親戚がZoomアカウントを持っていたので、ミーティングを開催してもらって自分は入る形で参加しました。参加するだけの場合はアカウントは要りません。

感想

技術

  • ハードウェアは十分だったと思いました。備えあれば憂いなしですね。しいて言うなら長いケーブルがあったほうがいいです。
  • PCのインカメラでも試してみましたが、こちらでも特に問題なかったです。
  • テレビを占有したのでBGMが不足した気がします。普段であればお正月番組を垂れ流しだったのですが、テレビが占有されているので無音でちょっと気まずい感じになることがありました。できればプロジェクタなどを用意したほうがよかったと思います。
  • 一番気になっていた通信量は1時間半で2.3GB程度でした。3拠点つながっていたからか見積もりより多くなりました。
  • 品質は、音飛びや「ネットワークが不安定です」という表示が出ましたが、切断されるとか完全に中断される事態は起きませんでした。ですがたまに会話が途切れて聴こえにくいことはありました。
  • 誰かがしゃべっているとき自動的にミュートになる機能がオンになっていたようです。開催者でないとオンオフできないようです。主催する場合は要チェック。
  • 格安モバイル回線なので途中でブチブチ切れたり話にならないレベルかと思っていましたが、予想以上にうまくいってよかったです。

コミュニケーション

  • 通常のマイクだと会話が複数出るとクラッシュして伝わりません。例えばこちらでビデオに話しかけてるときに後ろで他の人たちがしゃべってると、リモートにはミックスダウンされた音声が伝わるので完全に聞き取れないノイズになります。会議用のマイクだと多少は緩和されるかも知れません。
  • はっきりマイクにしゃべらないと伝わりません。ボソボソした声はZoomが拾ってくれない場合があります。マイクに向かって話しましょう。
  • 食べ物は転送しようがないのでお供え物状態になります。こればかりはどうしようもありません。一緒に飲み食いしたいものは事前に送っておきましょう。とはいえ「こっちはこんなお酒飲んでるよー」みたいな話もそれはそれで面白かったです。
  • やっぱり「顔が見える」というのは電話と違って大きなメリットだなと思いました。*8

まとめ

今回突貫工事でリモート会議を行うことになりましたが、個人的にはやってよかったと思います。やる前は「固定回線がないから無理だ」と少し思っていましたが、実際にやってみるとできないこともないなと思いました。とはいえこの形のまま恒常的にやるのは主に通信量の問題で難しいなどの課題も出てきました。

コミュニケーション面でも有意義だったと思いました。コロナ禍が長期化して遠方の人と会えない期間が続く中、画面越しであっても顔を見て話ができるというのは大きいと思いました。特に祖母は自分では電話しかできないので、今回顔を見れてとても嬉しそうでした。除夜の鐘付きや初詣に行けないと楽しいことがまったくないまま引きこもりがちになりますが、リモートであっても会話ができたのは数少ない楽しみになったと思います。

新型コロナ感染症をめぐる状況は再び厳しくなりつつありますが、経験談として遠方の親類とコミュニケーション不足に悩んでいる方の一助になれば幸いです*9。今年は一刻も早く新型コロナ感染症流行が収束して、従来通りのコミュニケーションが取れるようになることを願っています。

*1:闇が深いなと思ったことはこんな感じで下に書いておきます。

*2:ここまで両親は一切手を下しません。母は素人なのでまだしも、父はインフラエンジニアであるにも関わらず。

*3:父はまったくの無関心です。実際に困らないと動きません。

*4:先述のコストの問題も資金だけでも分担を打診しましたが、取りつく島もないという感じで話さえ進みませんでした。

*5:一応エスカレーションパスに自分がいますが、フィッシングに引っかかった場合などその場で誤った判断が起きる可能性もあります。

*6:ここで困ったのが父親の態度です。この話は親戚から父親に降りてきたのですが、自分は伝えられ忘れていました。自分は祖母から聞いて、自分から父に尋ねてそういうことになったと知りました。親戚もできればもう少し前に相談してほしかったものですが、実際手を動かすことになる自分にだけ伝え忘れるというのは困ったものです。

*7:仕事ではTeamsを使っています。

*8:父親がここぞとばかりに「コロナのおかげでこういうことができるようになった」とか「やっぱ光回線引いた方がいいかもな」とか言い出したときはグーパンしたくなった。

*9:我が家には「遠方の親類」と「実家」の両方にZoomが使える程度にITが使える人がいた、という点でとても恵まれていたとは思っています。「遠方に高齢の父母が独りで住んでいる」といった場合はかなり厳しいとは思います。そういった場合でもモバイルSIMをセットアップして送るなどすれば実現可能性はある、ということが今回わかったと思います。