青ポスの部屋

旅と技術とポエムのブログ

新社会人に伝えたい「やっておいた方がいい」こと その1 お金のこと

知人が就職するので書きます。おっさんのポエムなので盲信することはないように。

はじめに

就職されたみなさん、おめでとうございます。みなさんがコロナや気候変動などで社会が大きく変化する時代に就職までこぎつけられたことを尊敬します。

この記事は自分が新卒の時に知っておきたかったことをまとめています。「これだけ知っておけばまあなんとかなるだろう」という記事を目指しています。斜め読みでもいいのでぜひ読んでみてください。

筆者は何者

社会人歴4年です。大学院で物理の修士号を取って関西でITエンジニアをやっています。その傍ら株式投資、バイクライダー、ミュージシャンなどもやってます。

知っておきたいお金の知識の分野

ここで紹介する知識は税金、社会保険、投資の3つです。税金と社会保険は必ず必要です。投資も低金利時代ではほぼ必須と言えるでしょう。

税金

普通に会社員をやっている限り税金は会社が源泉徴収してよしなにやってくれます。ですが、会社がやってくれるというのは「所得税と住民税に限った」話で「例外」です。

税金(所得税)には実はいろいろ個人の事情によって税金をおまけしてくれるシステムがあります。具体的には下記などです。

  • 学生時代に猶予してもらった年金を追納した(社会保険料控除)
  • 結婚したり子供ができたり親に生活費を送ることになった(配偶者控除、扶養控除)
  • 家を買った(住宅借入金控除)
  • 医療費を年合計で10万円以上払った(医療費控除)
  • 災害や盗難で被害を受けた(雑損控除)

これらは会社で行われる年末調整や毎年の確定申告で自分で申し出る必要があります。

知れば怖くない確定申告

給与にかかる所得税は本来は毎年3月の確定申告によって確定します。確定申告とは確定申告書という書類を作って税務署に提出する手続きです。

一方でみんなが毎年確定申告をしていると不便なので、年末調整というシステムもあります。年末調整は会社で税金の精算をしてくれるシステムです。多くの人はこの年末調整で調整が完了し、確定申告する必要はなくなります。

しかし年末調整で調整できず確定申告しなければならないことはしばしばあります。例えば副業で20万円以上(特定口座での株式投資などは除く)の所得があるときや、医療費控除を適用したいときなどです。特に前者の場合は法律で義務として定められています(やらなかったら脱税)。

書類を作るとなると抵抗があるかもしれません。しかし今や確定申告はネットでできる時代です。確定申告書作成コーナーで数字を打ち込んでいけば申告書をプリントアウトして送るだけになります。こういうものがあることは覚えておきましょう。

www.nta.go.jp

住民税

以上は所得税で国に納める税金です。2年目以降は住民税という都道府県や市町村に払う税金も徴収されます。

住民税は毎年前年の収入に対してかかった税金を納めることになります。だから1年目の間は前年に収入がないので引かれない*1のです。2年目には1年目の収入にかかった住民税を納めることになります。なお3年目までは仮に昇給がなくても住民税は増えます(2年目のベースになる1年目給与は9か月分だが、3年目のベースになる2年目給与は12か月分になるから)。

住民税は1年遅れで来るというのは絶対に覚えておきましょう。これがきついのは会社を辞めたときや残業ができなくなって給与が減少したときです。収入が減ってもリアルタイムではまけてもらえません。

年末調整で済む場合や確定申告をした場合は、住民税は自動的に手続きされるので特にやるべきことはありません。ただしごくごくまれに住民税だけ申告したほうがいいケース*2があるので参考程度にしておきましょう。

ちなみに所得税相続税などの国税の手続きをする場所は税務署、住民税や固定資産税などの地方税の手続きをする場所は市区町村です。違うところに行ってもたらいまわしにされるので注意しましょう。

ふるさと納税

これだけ特別に書いておきます。ふるさと納税は1年目でもやっておいた方がいいです

ふるさと納税とは簡単に言うと「税金を前払いして特産品をもらうシステム」です。地方自治体に寄付することで税金を控除してもらえる仕組みです。2000円余計にかかることになりますが、ブランド牛肉やお米、趣味の用品などがもらえます。1年目で寄付した場合、2年目からかかる住民税が安くなります。

具体的には、ふるさとチョイスやさとふるなどのサイトで通販のようにして寄付を行い、ワンストップ特例の申請書を郵送で提出するだけです*3役所に行くとか確定申告みたいな難しい手続きは不要です。

ふるさと納税には上限額があるので、これを超えないようにだけ注意しましょう。

www.furusato-tax.jp

社会保険

ここで言う社会保険とは健康保険と年金のことです。どちらも給与明細から引かれていてがっかりするものです。

ですが引かれた分何かあった時に保障を受けることができるのです。知らないともらえず、保険料を取られっぱなしになります。

傷病手当金

ここ超重要です。病気やけがで会社を長期間休んだ場合、健康保険から傷病手当金が出ます

www.kyoukaikenpo.or.jp

これ、手続きしないで会社を辞めると二度と出ません。ちゃんと手続きすれば会社をやめても1年6カ月までもらうことができます。傷病手当金は非課税*4です。

しばしば「適応障害うつ病になったからすぐに会社を辞めた」という人がいますが、それは悪手なのです(耐えがたいパワハラとか残業代未払いとかは別です)。せめて傷病手当金の請求はしましょう。数十~数百万円変わってきます。

それなしにしても、就職したら「収入保障保険に入りませんか?」みたいな勧誘がよく来ます。確かに傷病手当は給与と比べると少ないですが、貯蓄していればくいっぱぐれることがあるかというと疑問です。任意で収入保障が必要か自分の収入や支出、生活形態に応じてよく吟味しましょう。

保険料の定時改定

1年目はありませんが、2年目以降は収入に応じて保険料が改定されます。

具体的には4,5,6月に支払われる給与によって保険料が決まり、10月から適用されます。つまり3,4,5月に残業をすると保険料が上がります*5

投資

最後に投資です。と言いますが、下記の記事を読んでください。実は言いたいことの90%はここに書いてあります。

hayatoito.github.io

基本的な方針はここに書いてある通りです。「インデックス投信をNISA / iDeCoで積み立て」は鉄板です。

自分はここに書いてある以上のことをやっていますが全部趣味です。趣味じゃない人はここに書いてある通りでいいと思います。しいて言えば、個人的には米国株より全世界株派です。

とりあえずNISAとiDeCoをやっておけばよいかと思います。iDeCoは60歳まで引き出せないことと実は工夫しないと受け取るのに税金がかかること*6だけ注意です。会社に確定拠出年金(DC)がある人はiDeCoは制約がありますが、マッチング拠出ができる場合はiDeCoと同様の効果が得られます。

手っ取り早くいいところだけ知るには?

ここまで読んでくださった皆さんにいいことを教えましょう。

上記の雑多なことを手早く把握するにはFP技能士3級を取得するのがおすすめです。ここには生活で必要なお金の知識が詰め込まれています。

www.jafp.or.jp

自分はFPの資格は持ってませんが年内には取りたい

IPAの資格同様に過去問道場があるので、気になる方はやってみましょう(自分は合格点は行くくらいです)。

fp3-siken.com

最後に:お金は知れば知るほど得をする

ここまで「自分が知っておきたかったこと」というものをピックアップして書いてきました。

ですがここには書いていない知識も無数にあります。特に相続とか不動産のことは知らないし書いてません。しかしお金に関する知識は必ず武器になります。知っている制度にアクセスしないことはできますが、知らない制度にはアクセスできないのです。

興味のある人は自分で調べてみましょう。もちろん「やらない」という選択肢もアリです(確定申告とかはやらないとですが)。自分の納得のいくようにやってみましょう。

続編(?)

bluepost69.hatenablog.com


参考:興味のある人のために

税金

国税に関しては国税庁のHPが最強です。たいていのことは出てきます。

www.nta.go.jp

税制を体系的に学びたい人のためには税大講本というものがあります。これは国税庁が内部研修で使っているテキストです。

www.nta.go.jp

地方税については、市区町村で異なるので自分の住んでいる市区町村のHPで調べてみましょう。

社会保険料

年金は日本年金機構が管理してます。

https://www.nenkin.go.jpwww.nenkin.go.jp

健保は入社してからもらう健康保険証でどこの組合/協会か確認しましょう。協会けんぽの場合は下記です。

www.kyoukaikenpo.or.jp

投資

こればかりは「ここを見ればOK」というものは先に紹介したもの以外ありません。投資はお金儲けになるので、いろんな立場の人がいろんな持論をかざしていろんなことを言うのです。例えば

  1. ネット銀行の定期預金個人向け国債で利子を得る
  2. インデックス投信を長期で持つ(自分、「99点~」を書いたItoさん)
  3. 株主優待配当の充実した株式を長期で持つ(桐谷さん)
  4. いけてる有望な株式を見繕って短期、中期で売買する(いわゆるデイトレードなど)
  5. FXや暗号資産など上下の激しい資産で一発当てる
  6. プログラムやAIでトレードする
  7. 競馬や宝くじを買う

などです。これらは下に行くにつれてハイリスクになります。必ずしもハイリスク=ハイリターンではないことに注意しましょう。

とはいえ「一発当てたい」という欲はどうしても出るものです。多少痛い目を見て学ぶこともあります。それが致命傷になってはいけないので、もし手を出すとしてもうまく付き合っていきましょう。

*1:就職前にも税金がかかるくらい収入があったとかは除きます。

*2:20万円未満の副業収入がある場合など。ちなみに配当で住民税だけ申告するという節税テクニックがありましたが、令和4年の税制大綱でふさがれることになりました。

*3:一部の例を除く

*4:所得税源泉徴収されません。住民税は前年の分がひかれますが、翌年の税額計算からは除外されるので翌年下がります。

*5:繁忙期の給与で保険料が計算されるのはムカつきますが仕方ないですね。

*6:受け取り時は退職所得 / 雑所得となるからです。ここら辺は調べてください。